21世紀の科学技術「重力波~アインシュタインからの最後の宿題!」を開催 | 長崎総合科学大学 新技術創成研究所
トピックス

21世紀の科学技術「重力波~アインシュタインからの最後の宿題!」を開催

2018/10/29

東京大学宇宙線研究所梶田先生よりご推薦頂き、昨年ノーベル賞対象にもなった重力波について、東京大学宇宙線研究所重力波観測研究施設長の大橋正健先生にご講演を頂くことができました。美しいスライドを使いながら、非常に難しい話を、高校生にも分かるようにかみ砕いて、時折笑いを交えながら、軽快にお話しして頂きました。お陰様で、高校生、中学生、一般の方から沢山の質問が出て、大変盛り上がった講演となりました。

 

また、川端弘治先生は、重力波観測を手がかりに、中性子星衝突を発見されたときの様子を、当時のリアルタイム情報を使いながら、お話し頂きました。如何に世界中が競争し、偶然と必然の中で発見がなされたのかが手に取るように分かりました。これによって、金や銀など貴金属が宇宙に存在するなぞが解ける可能性もでてきたということで、私達の身近な問題も感じることができました。

 

みなさま、たくさんのご参加ありがとうございました。

おかげさまで、非常に盛会な講演会となりました。

 

  %e5%a4%a7%e6%a9%8b%e5%85%88%e7%94%9f  %e5%b7%9d%e7%ab%af%e5%85%88%e7%94%9f

 

 

長崎総合科学大学大学院 新技術創成研究所 第16回公開講演会 

21世紀の科学技術重力波 〜アインシュタインからの最後の宿題!〜

 

日  時  平成30年10月27日(土)13:00~16:00
会 場  長崎総合科学大学 3号館6階 大講義室

 

講演1『 重力波をとらえる -日本の重力波望遠鏡 KAGRA- 』
東京大学宇宙線研究所 重力波観測研究施設長 大橋正健教授

 

アインシュタインの一般相対性理論によれば、質量をもった物体が存在すると、それだけで時空にゆがみができます。さらにその物体が(軸対称ではない)運動をすると、 この時空のゆがみが光速で伝わっていきます。これが重力波です。重力波はすべてを貫通し、減衰しないと考えられています。東京大学宇宙線研究所の重力波研究グループでは、「重力波」の直接検出を行い、それを将来の「重力波による天体観測」の創生につなげていきたいと考えています。

 

「岐阜県飛騨市神岡町にある神岡鉱山の地下深くには、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊博士の成果につながった宇宙素粒子研究施設「カミオカンデ」の後継施設「スーパーカミオカンデ」をはじめ、宇宙の謎に迫る世界最先端の研究施設が整備されています。いま、ここで新たな研究計画が動き出しました。それがKAGRA計画(大型低温重力波望遠鏡計画)です。

 

この「望遠鏡」によって、地底深くからとらえようとしているのは、光や電磁波ではなく、重力がもとになって生まれる宇宙からの波動「重力波」です。重力は、宇宙の構造や進化を支配するとても重要な力で、重力波を観測できるようになることは、宇宙の謎を知るために非常に重要です。大型低温重力波望遠鏡計画は、ブラックホールの解明などをめざし、人類初となる「重力波の直接観測」に挑戦しています。」

 

 

講演2『 重力波源からの光をついに観測

       -日本の望遠鏡群が捉えた重元素の誕生現場

  

広島大学宇宙科学センター長 川端弘治教授

 

広島大学、国立天文台、甲南大学、鹿児島大学、名古屋大学、東京大学などで構成される日本の重力波追跡観測チームJ-GEM(代表:国立天文台ハワイ観測所長・教授 吉田道利)は、2017年8月17日にアメリカの重力波望遠鏡Advanced LIGOとヨーロッパの重力波望遠鏡Advanced Virgoによって検出された重力波源GW170817の観測を行い、重力波源の可視光・赤外線対応天体を捉えて、その明るさの時間変化を追跡することに成功しました。

2年前に人類が初めて重力波の直接観測に成功して以降、検出された4つ(ないし5つ)の重力波は、いずれもブラックホール同士の合体によるもので、可視光などの電磁波では捉えられていませんでした。GW170817は、その重力波信号の特徴から、初めて、中性子星同士の合体である可能性が高いと予想され、「光る」ことが期待されていました。あいにくこの天体は南天(うみへび座の尾付近の方向)に位置し、日本では夕方の薄明中に沈んでしまう状況でしたが(広島大学のかなた望遠鏡でも敢えて観測してみましたが厳しいものでした)、南アフリカやニュージーランド、ハワイに建設された日本の望遠鏡で、その天体を鮮明に捉えることができました。

観測された可視光・赤外線の特徴は、中性子星合体に伴う電磁波放射現象「キロノバ」で理論的にうまく説明されるものでした。本研究により、宇宙における金やプラチナといった貴金属元素が中性子星合体によって大量に合成される可能性が高いことが見いだされました。

さらに、広島大学が日本チームの代表を務めているガンマ線衛星「フェルミ」によっても、この重力波源からのガンマ線が、重力波の信号から約2秒遅れて捉えられました。

2017年のノーベル物理学賞を獲得したばかりの重力波の直接検出ですが、今回の一連の研究から、重力波が未知の宇宙への有力な観測手段であることが確実なものとなり、「重力波天文学」の本格的な幕開けが期待されます。 

 

             s_2693image3_20181030092248

 

長崎総合科学大学ホームページでの紹介へのリンク

PAGE TOP