吉村進客員教授が有機導電材料を用いた固体電解コンデンサの開発で紫綬褒章受章
昭和60年代に始まった電子機器のディジタル時代に求められる回路技術の目指すところは、小型化、高速化、省電力化(低電圧・大電流)で、これに対応する大容量で低インピーダンス(=交流抵抗)のコンデンサが切に望まれるようになっていました。従来の高周波コンデンサ(フイルムコンデンサ、積層セラミックコンデンサ)は大容量化が難しいため、大容量アルミ電解コンデンサの低インピーダンス化が急務であり、吉村先生は、これらの問題を克服するため、電導度の高い導電性高分子(=電気を流すプラスチック)をアルミ電解コンデンサの固体電解質として適用することにより、大容量でかつ、100kHz以上の高周波領域まで使用可能な導電性高分子コンデンサを開発しました。
開発した導電性高分子コンデンサは、高周波ノイズ(雑音)を除去するなど、中央処理装置(CPU)の高性能化(情報処理の高速化)に寄与し、コンピュータ、AV機器、テレコム機器など、ほとんどのディジタル機器に採用され、ディジタル時代における機器の小型化、高速化、省電力化に貢献してきました。
(関連特許: 特許1841038 「固体電解コンデンサ」 )
プロフィール
吉村 進 (74歳)
昭和38年3月東京大学工学部電子工学科卒業
同年4月松下電器産業㈱(現パナソニック㈱)に入社
松下技研㈱専務取締役、(財)地球環境産業技術研究機構研究所副所長を経て
平成13年長崎総合科学大学理事、常務理事を経て
大学院新技術創成研究所客員教授
現在は、後進の育成のためのご指導を頂いております。
固体電解コンデンサとは
白川英樹先生(2000年ノーベル化学賞)を
導電性高分子コンデンサの製造現場(宇治)へご案内。
導電性高分子コンデンサは現在でも導電性高分子の応用として最大の事業成果と認識されている。